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食品添加物

私たちの食を取り巻く環境もめまぐるしく変化を続けながら、調理済み食品の普及を始め、内容や形態も年々多様化しています。何かと忙しさに追われることの多い現代人の利便性向上と少しでも安く購入をと願う消費者のニーズに応えるために急速に普及してきたのが食品添加物です。

日常生活において毎日知らず知らずのうちにさまざまな食品添加物を摂取しているわけですが、安全性や使用基準などに不安がないわけではありません。しかし、現代においては添加物を避けて食生活を送ることは不可能なのです。ただ不安を募らせる前に、まず実態を把握し、必要性や果たしている役割などを理解しながら上手に付き合っていきたいものですね。 食品添加物のウラ・オモテについていろいろな視点から考えてみましょう。


私たちをとりまく添加物 その1

あるサラリーマンの食事より
●朝食:パン、冷凍オムレツ、果物(オレンジ)、牛乳

パン:
イースト菌の栄養源となるイーストフードや品質改良に使われ、パン生地をきめ細かくソフトにしたり、風味を豊かにしたりするためにビタミンCが使われているのです。
バター:
酸化を抑えるための防止剤が使われるものが中にはあるようです。
卵製品:
栄養強化や着色目的でカロチノイドなどが配合されたりしています。
オレンジ:
柑橘類は遠くの地より消費者の元に届くまでの間、品質を保つために防腐剤や防カビ剤が散布されます。せめて食べる前にはしっかり洗いましょう。
牛乳:
低脂肪乳の場合、栄養強化の目的でカルシウムなどが添加される場合が多いです。

●昼食:コンビニで買ったインスタントラーメン、おにぎり、お茶

ラーメン:
麺のコシをだすためにかん水以外にでんぷんなどもが使われています。他に酸化防止剤にビタミンEが、着色料にカロチノイドやクチナシ色素などが使われます。スープの調味料もすべて添加物です。(アミノ酸は調味料としても活躍しています。)
おにぎり:
こちらも調味料としてアミノ酸が使われています。トレハロースという名の天然糖はデンプンの老化抑制、保湿効果をあわせ持ち、お米の品質維持に使用されます。
お茶:
酸化防止の目的でビタミンCが使用されており、使用しないと店頭に並ぶ頃には色が抜けてしまうとのことです。
大まかにご紹介しただけでもこれだけ多くの添加物が使われているのです。 また着色料や保存料だけが添加物ではないこともおわかりいただけたのではと思います。

私たちをとりまく添加物その2

あるサラリーマンの夕食より
●夕食:ステーキ、コンソメスープ、サラダ、ワイン

ステーキ:
生鮮食品への添加物使用は原則禁止されていますが、肉の変色を抑え、見た目良く見せるためにニコチン酸やビタミンC(アスコルビン酸)などが使われていることもあるようです。
コンソメスープ:
インスタントラーメンのスープと同様に、調味料、香料など多くの添加物が使用されます。
サラダ:
彩りとしても利用されることの多いカニ風味かまぼこなどは、カニを模してつくられたコピー食品です。他にもイクラ、ホタテなどいろいろなコピー食品がありますが、知らずに食べている方がいらっしゃるかもしれません。添加物の使用拡大によって発展してきた分野の食品です。
ワイン:
酸化防止のために亜硫酸塩、ビタミンCなどが配合されています。

添加物として広範に使用されているビタミンC(アスコルビン酸)の仲間にエリソルビン酸という物質があります。ビタミンとして生体調節などへのはたらきはあまり期待できませんが、抗酸化力はアスコルビン酸と同等であり、栄養強化以外の酸化防止やpH調整などの目的において広く使用されています。保存料のソルビン酸と名前が似ていますが、全く関係ありません。


ちょっと気になる食品添加物のいろいろ

●合成の添加物はからだへの影響が心配なのですが・・・
正式名は、既存添加物(天然)、指定添加物(合成)と呼ばれ、その違いは、製造過程中に化学反応があるかどうかの違いにより分類されますが、自然には毒性をもつ物質は多く存在します。安全といわれる物質も使い方によってはからだに悪影響を及ぼす場合がないとは言いきれないというのが実情です。指定添加物を既存添加物に置き換えればすむといえるものではなく、どちらが良いと結論づけることのできる単純な問題ではないといえるでしょう。

●表示のルールはどのようになっているの?
原則として使用している添加物は、全て物質名(用途名)で表示することが基本となっておりますが、香料や調味料、乳化剤、pH調整剤などは、使用用途だけ表示しても良いことになっており、表示スペースのない小包装商品やバラ売り商品には基本的に表示義務はありません。また、消費者心理に乗じて、無添加をうたった商品でも、よく見てみると無添加なのは着色料だけ。といった例もみられます。表示は製品の内容を消費者がきちんと判断して購入するための大切な情報源です。時々はきちんとチェックしてみましょう。

添加物についての問題にもいろいろありますが、例えば酸化防止剤と着色料を同列に扱って良いのか、利便性と安全性のバランスをどのようにとるべきなのか?など、企業だけでなく、私たちの消費のあり方までも含めて、それぞれ考えなければいけないように思います。


余計な心配をすることなく、日常生活をおくるために必要な考え方とその実践とは?

● 食品添加物の安全性評価と食品業界の現状について
安全性を調べるためには、ラットやマウスなどの実験動物を用いて、一度に多量の添加物を与えたり、長期に渡って与えたりした場合の発ガン性の有無、アレルギーの有無などが細かくチェックされています。しかし、次にご紹介する安全性を高くみせる食品業界のテクニックを知ると、法律による規制にも限界があることを思わざるをえません。

「大(代)活躍するpH調整剤」
コンビニやスーパーで売られる加工食品に、評判の悪い保存料の使用を縮小する動きが広まっています。しかし、その影では細菌の増殖を抑え、製品の状態保持に利用されるpH調整剤(酸味料)が代役として幅をきかせていたのでした。

この場合、保存料に近い効果を得るためには、保存料を使用した場合に比べ、約数十倍の添加物が使用される計算になりますので、保存料の使用をゼロに抑えてみても、添加物全体の使用量はむしろ増えてしまう新手のごまかしトリックなのです。 「○○無添加!安心!」という言葉には必ず裏があると思って間違いなさそうです。

● 三石巌の考え方
『よく喫茶店やレストランで、毒々しい色をした飲み物やデザートを注文して、同席した人たちを驚かせる・・・』など、食品添加物に限らず、先生らしさの垣間見えるエピソードは数多くあります。食品添加物については、然るべき備えをしていれば、小さなことは気にする必要はないと、ハッキリした考え方をお持ちだったようです。 三石巌が考えた学習することの意味や学習の成果をどのように生かせば良いのかということを、ぜひ多くの著書の中から感じ取っていただければと思います。

● おわりに
今回、食品添加物をテーマに、加工食品を取り巻く状況や消費者の認識に関する問題など、さまざまな視点から考えて参りました。結論として、食品添加物に関わる問題はいろいろあるのは事実ですが、「食品添加物=危険」という狭い認識では、これからも増え続けるトリックに振り回されてしまうだけです。かかわりを避けることが困難であれば、避けることだけ考えずに、上手に付き合っていく方法を求めるのが賢い消費者の姿だと思います。

食品添加物のような異物は、薬物代謝というしくみによって処理・排出されます。こうした場合にも、ヒトフード、ビタミンA、ビタミンEなどの栄養素が心強い支えとなるのですから、日頃からきちんと摂取して余計な心配事を減らすことにお役立ていただけると幸いです。