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薬の効き目にも個体差があるからご用心!?

朝日新聞2008年1月14日に「高速バス運転手失神 乗客が縁石にぶつけ停車」という見出しの記事がありました。ご存知の方も多いと思いますので、記事内容の詳細は省略しますが、運転手の異常にいち早く気がついた乗客のおかげで大惨事には至らなかったことは幸いでした。一見すれば健康管理と無縁に思えるこの記事ですが、改めてよく読んでみると私たちが薬の使用を考える際に参考となる内容が多く含まれていることに気が付きました。

話のポイント
○運転手は前夜から体調が悪かったため、市販のかぜ薬を服用してから早めに就寝した。
(事故後の調べでインフルエンザに感染していたことが明らかに)
○当日起床後にも、念のためにまた薬を服用してから仕事へ向かった。
○運行前のチェックでは、アルコールと体調には異常のないことが確認されていた。

事の発端は運転手が症状を自己判断して薬を服用したことにありますが、風邪やインフルエンザの原因はともにウイルスであっても、症状や対応する薬の種類はそれぞれ異なるのです。 また薬を予防的に服用したことにも問題があります。事件の発生に至るまでには、このように薬の性質を無視した対処のしかたが重なり合っていることがおわかりいただけるでしょう。

からだにとって異物である薬は、肝臓で解毒されるしくみを持っていますが、日本人の場合、解毒酵素のはたらき方には、ひとりひとりに違いがあることがわかっています。またタミフルの例からも、脳や神経系に作用する薬は、ときに重大な結果を引き起こす可能性があるのです。

推察ですが、運転手が服用した薬には眠りを誘う成分(抗ヒスタミン剤など)が含まれており、気を失ってしまったのは、副作用がより強くあらわれてしまったためと考えられます。

これからは栄養素と同様に薬とのかかわりを考えるときにも、個体差を問題にしなければなりません。服用するにあたっては、種類を問わず、用心の上に更に用心を重ねる慎重さが大切だといえるでしょう。