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21 ビタミンCを十分に摂る理由

カスケードの水車の例として、これまで、抗壊血病作用と抗白内障作用とをとってきました。しかし、後者にはちょっと問題があるので、ここで、具体例を改めて、インターフェロン合成作用とコーチゾン合成作用をとることにします。インターフェロンは抗ウイルス因子のこと、コーチゾンは、副腎皮質ホルモンの代表の意味です。

インターフェロン合成も、コーチゾン合成も代謝過程ですから、カスケードでは、それぞれに水車をもつことになります。むろん、それぞれに漏斗もついています。漏斗の材料は、インターフェロン合成の主酵素となるタンパク質、コーチゾン合成の主酵素となるタンパク質、ということになります。そして、ビタミンCは、両者に共通な助酵素、ということになります。

この二つの漏斗のカスケード上の順位は、人によってちがう、と考えることにいします。そして、Aさんでは、インターフェロンが上位に、Bさんでは、コーチゾンが上位と、互いに逆の関係にあったとしましょう。

ビタミンCが大量にあればべつですが、ご両人とも、それが不十分だったとします。すると、Aさんは、インターフェロンはつくりやすいけど、コーチゾンはつくりにくいことになります。そこでAさんは、風邪はなかなかひかないかわりに、ストレスには弱いからだの持主ということになります。風邪はウイルス感染症、コーチゾンは抗ストレス因子だからです。 これと反対に、Bさんは、ストレスには強いけど、風邪はひきやすいからだの持主ということになります。

もし、AさんもBさんも、ビタミンCを十分にとれば、二人は、風邪にかかりにくく、ストレスに強いからだをもつことができるでしょう。ところが、ビタミンCが不足したことになると、前記のような弱点があらわれることになります。これは体質上の弱点といえるものですけど、その弱点がビタミンCの大量投与でカバーできるということです。逆にいえば、体質上の弱点は、ビタミンCが不足のとき、一般的にいえば、助酵素が不足のときにあらわれる、と考えてよいのです。

前に、漏斗の管の太さが親和力できまるといいました。しかし例えば、ウイルスがいないときには、インターフェロン合成の必要はないわけですから、漏斗に水が流れこむこともいりません。そこで、管にはコックをつけることにします。ウイルスがいないとき、インターフェロンのコックは閉じています。

ストレスが強いと、そのコックが全開します。するとBさんの場合、インターフェロンにおちる水がなくなりがちです。それで、すぐに風邪をひいてよいことになります。過労のとき風邪をひきやすい人は、Bさんのようなケースだと思います。


*この文章は三石巌が会報誌「メグビーインフォメーションVol.23」(1984年11月号)に初めて分子栄養学を勉強される方へ向けて書いたものです。