• 栄養素編
  • コラム編
  • 分子栄養学入門
  • 上級(会員専用)

22 活性酸素とビタミンC

カスケード理論では、段々の滝の各段に漏斗をおきました。その漏斗には、主酵素と助酵素との親和力で太さのきまる管がついていました。管からおちる水でまわる水車がありました。太い管からは大量の水がおちます。すると、太い管の下の水車は、回転がしぶく、たっぷり水がないと、勢いよくまわらない、と考えたらよいでしょう。

ところで、この管にはコックがついていました。ウイルスがいなければ、インターフェロンをつくる必要はありません。ストレスがなければ、コーチゾーンをつくる必要はありません。そこで、コーチゾーンのコックは閉じています。

カスケードではたくさんの水車がまわっているわけですが、なかには休んでいるものもあります。上位の水車が休めば、下位の水車はそれだけで有利になります。 カスケード理論の説明の最初のころ、岩にしみこむ水についてふれました。しみこんだ水は水車をまわしませんから、それは、代謝にとっては損失になります。岩にしみこむ水が少ないことは、代謝にとって有利な条件になるわけでしょう。

岩にしみこむ水が、すべてムダなものとはいえません。ビタミンが有利な働きをあらわさずに分解してしまえば、それはムダになります。しかしそれが、代謝と無関係な働きをあらわすことも、大いにあります。それは、ビタミンCについていえば、活性酸素という名の毒物の除去です。岩にしみこむ水が、活性酸素を洗い流してくれる、と考えるのです。

活性酸素は大気中にも少しふくまれていますが、エネルギーをつくるとき、炎症があるときなどには、体内で発生します。これは、組織をいためるし、発ガンの契機にもなります。それを除去することは、生体防御のうえでの必須の条件になります。

私の白内障をとりあげたとき、ビタミンCの抗白内障作用ということばをだしました。白内障は、恐らく活性酸素中毒ですから、抗白内障作用イコール活性酸素の除去法であるかもしれません。とすれば、それは岩にしみいる水のしわざで、水車とは無関係になります。

もっとも私たちのからだは、「活性酸素除去酵素」を自前でつくります。これは代謝の産物ですから、水車の回転を必要とします。 その代謝の助酵素としてビタミンCが位置づけられる可能性は小さくないと思います。もしそれが正しいとすれば、ビタミンCは、活性酸素退治に二役をつとめる立役者ということになるでしょう。

ビタミンCのカスケードでは、それが水車をまわして働き、岩にしみこんで働き、というわけです。ビタミンの種類によっては、岩にしみこんだものがすべて損失になる、ということもあるはずです。


*この文章は三石巌が会報誌「メグビーインフォメーションVol.24」(1984年12月号)に初めて分子栄養学を勉強される方へ向けて書いたものです。