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9 RNAはDNAのコピー

DNAの縄梯子のステップは、アンバーとタン、チャコールとグリーンというぐあいに、組合わせがきまっています。ばらばらに開いたDNAの縄の一方を見ると、四色の棒が、のれんのようにたれています。この色もようは、じつは、暗号になっているのです。

DNAの縄梯子が閉じているとき、暗号はかくれています。それが開いて、四色の棒がぶらぶらになっとき、暗号はあらわれるのです。分子栄養学ニュートリオロジーの話は、DNA分子が開裂して、遺伝暗号が露出するところからはじまります。

暗号というものは、解読されなければ意味がありません。そこで、「解読」が問題になりますが、そこまでゆくのには、いくつかの手続きがいります。 DNA分子が開裂して縄のれんの形になると、すぐに、そのコピーをとる「転写」がはじまります。それには、そのへんにうろうろしている、別種の色の棒が働くのです。

もともと、DNAのチャックをずたずたにばらすと、T字型の分子になります。この字の横棒は、デオキシリボースという糖と、リン酸とのつながったものです。そして縦棒は、前回述べたとおり、四色ありますが、化学物質としては塩基です。その名は、アデニン(A)、シトシン(C)、グアニン(G)、チミン(T)となっています。これを、アンバー(コハク)色、チャコール(炭色)、グリーン(緑)、タン(茶褐色)としたわけでした。

開裂した縄のれんの色の棒に引きよせられるのは、やはりT字型の分子ですが、このT字の横棒は、リボースという糖にリン酸がつながったものです。それが、次つぎに縄のれんの色のたれにくっついて、チャックを閉じたような形になります。そのときも、チャコールにはグリーンがくっつきますが、アンバーには、タンではなくウルトラマリーン(グンジョウ色、本名はウラシル)がくっつきます。

DNAののれんにくっついて、チャックを閉じる役目をするもう一つののれんをRNAといいます。DNAの塩基はACGTの四種だったのに、RNAの塩基はACGUの四種だということになりました。DNAのDは、デオキシリボースの頭文字、RNAのRは、リボースの頭文字です。

開裂したDNA縄のれんにへばりついたRNA縄のれんは、すぐここをはなれます。すると、DNAはまたもとのように閉じて、縄梯子をつくって静まりかえってしまいます。 このとき、RNA縄のれんが、DNAのコピーになっていることが、おわかりでしょうか。DNAのアンバーのたれには、ウルトラマリーンが、チャコールのたれにはグリーンが、グリーンのたれにはチャコールが、ということは、色暗号を転写したことになっているのです。


*この文章は三石巌が会報誌「メグビーインフォメーションVol.11」(1983年11月号)に初めて分子栄養学を勉強される方へ向けて書いたものです。