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コラム編

  • ビール腹というけれど・・・

    ビール腹というけれど・・・

    生活習慣病の予防はまずお腹から、という考えが一般にはかなり浸透するようになったのは「メタボ」という語の流行がきっかけです。お腹の形にもリンゴ型、洋梨型など分類もさまざまありますが、今回の話の主役はビールをよく飲む人に多いといわれる「ビール腹」です。すっかり悪者になってしまった感のある「ぽっこりお腹」の原因の1つといわれるビールに、お腹を張り出させる効果は本当にあるのかを今回考えてみたいと思います。

    まずカロリー源となる糖質の量ですが、ジョッキ2~3杯分で食パン1枚分に含まれる量とほぼ同等になりますので、ビールだけを飲んで太るには、毎日相当な量を飲まなければならないようです。次にアルコールの量をみてみましょう。体内に吸収されたアルコールの大部分は分解酵素の働きによって、最終的には水と二酸化炭素に分解されてしまうのですが、この過程で身体にとって毒と判断されたアルコールは最優先して処理されます。

    その結果、栄養素の処理が後回しになるため、脂肪の貯蔵や糖質からの脂肪合成が促進されます。結論として、立派なお腹になるためには、ビールそのものよりも、アルコールと食事の内容や量の相互作用によるものだと考えなければならず、「ビール腹」は科学的根拠に基づいてつけられたネーミングではなかったことがわかりました。 お酒を益とするか害とするかはみなさま次第です。

  • アミノ酸の機能もいろいろ!?

    アミノ酸の機能もいろいろ!?

    アミノ酸はタンパク質を構成するだけのものと思っていらっしゃる方は意外に少なくないようです。しかし、タンパク質合成には関わらずにアミノ酸単体で働くものもあるのです。今回はその中から「オルニチン」というアミノ酸をご紹介します。

    この「オルニチン」は、コレステロール量の調節や交感神経の興奮を抑制することなどに関わることが知られるタウリンと同様に機能性を持ったアミノ酸として最近注目されています。例えば、必須アミノ酸から非必須アミノ酸への転換やタンパク質がエネルギーとして利用されるその過程で、タンパク質中の窒素は肝臓にある尿素回路によって速やかに処理されて尿素につくり変えられます。その後、尿に溶かしこんで排泄するといった大変手のかかることをやっているのです。つまり「オルニチン」はこの尿素回路を支えるアミノ酸の1つであり、他には、身体の修復に欠かせない成長ホルモンの合成にも関係しているといわれます。

    このような情報は、日頃のタンパク質やエネルギーの摂り方を見直す良いきっかけにもなると思います。情報が増えてくると、単純に良質度の高さだけで何を食べるべきかを決められなくなってくることが少しお分かりいただけたのではと思います。

    この「オルニチン」は実際にどのような食品から摂取できるかといいますと、しじみに多く含まれており、魚介類全般から広く摂取することが出来ます。お酒を飲んだ後にはしじみの味噌汁が良いと言われますが、経験的に語られている摂取することの必要性についても、研究が進むことに伴い、より理論的な説明も可能になってくるのです。

  • 賢いダイエットって?

    賢いダイエットって?

    “たくさん食べても太りたくない”と思っていらっしゃる方は多いのではないでしょうか?

    健康情報を扱うテレビ番組でもダイエットはくりかえし取り上げられるテーマのひとつとなっており、年齢を問わず自分の体型を楽して何とか変えたいと思っている人たちの関心を集めているようです。

    ある食品がクローズアップされるたびに、スーパーからその食品がたちまちに消えてしまう現象は、よく知られた光景となっています。みなさまの中にも、「~を食べると、身体はこうなる」という関係に代表される軽い情報にもとづいて、身体の状態改善を期待する人はあとを絶ちません。

    いろいろなことに気を配りながら、自分の身体と上手につきあうためには、それ相応の知識も必要になりますが、その効果は、ダイエットだけにとどまらず、さまざまな身体の不調に対しても予防的にはたらきますから、メリットはあってもやりそこないはありません。

    以前にもご紹介いたしましたが、なかなかやせられずに苦労されている方のために、カロリーを減らしながらも、必要な栄養素だけはしっかり摂ることができるような製品組み合わせの一例をご紹介いたします。

    ●サンプルメニュー(1日量として 約180~260キロカロリー)

    プロ:20~30g
    ミックス:1~2包
    レシチン:1~2包
    A: 4粒
    E: 4粒
    ボーン: 8~10粒
    B: 10粒
    Q: 4粒

    ※プロテインを溶くベースドリンクによって以下のカロリーが加算されます。
    ・牛乳(200ml):134キロカロリー
    ・スポーツ飲料 (200ml):54キロカロリー
    ・リンゴジュース果汁30% (200ml):92キロカロリー

    詳しくはメグビー本社・営業所などお近くの窓口までお気軽にご相談ください。 上記の組み合わせを参考に1日1~2回食事代わりにおためしください。 摂取したタンパク質を上手に利用するには、おにぎりなど糖質の摂取もお忘れなく!!

  • アスベストから身を守るには?

    アスベストから身を守るには?

    中皮腫や肺ガンを高頻度で発症させる危険因子で、「静かな時限爆弾」との異名をとるアスベスト。自動車のブレーキパッドやドライヤーやタバコのフィルターなど、広い用途で使用されていた経緯があります。私には関係ないと思っていてもそうはいかないかもしれません。

    もし発症してしまったら・・・という心配はつきまといますが、希望となる話題を1つご紹介します。最近の研究において次のような発表がありました。ビタミンEおよびその誘導体に、ガン細胞(悪性中皮腫)を縮小させる作用を増強させたり、増殖を抑制させたりする効果を確認したという内容です。ビタミンEだけに限らず、日頃から地道に栄養条件を整えておくことは、アスベストのリスクを抑えるだけではなく、その他多くの未知の問題にも対処してくれているのかもしれません。

  • 大豆イソフラボン、妊婦さん摂りすぎ注意

    大豆イソフラボン、妊婦さん摂りすぎ注意

    『摂りすぎ注意して!骨粗鬆症(こつそしょうしょう)やがんの予防効果があるなどとして人気のある食品成分「大豆イソフラボン」について、食品安全委員会の専門調査会は、過剰摂取に注意を促す報告書案をまとめた。ホルモンのバランスを崩す恐れがあるとして通常の食生活に加え特定保健用食品などで1日に追加的にとる安全な上限量を30ミリグラムとした。特に、妊婦や乳幼児に対しては「追加摂取は推奨できない」としている。(以下省略)』

    メグビープロにも大豆由来のイソフラボンが自然の形で含まれています。日常食の範囲として摂取する分には、納豆、豆腐、豆乳などと同様に心配ないという考えで、更年期に伴う症状でお悩みの方などには状態改善のメリットとしてもおすすめしております。

    一方で、新聞記事にあるようなサプリメントタイプや食品に強化されたイソフラボンは、通常に比べて吸収されやすい形で製品化されています。この吸収しやすさが1つのセールスポイントとなっており、問題にもなっているのです。女性ホルモンに類似した働きを踏まえた場合には、やはり摂りかたを考えないと逆効果になる場合もあるでしょう。

  • ビタミンC不足→老化が進みます

    ビタミンC不足 → 老化が進みます

    ビタミンCが不足すると老化が進みやすくなることを、東京都老人総合研究所の石神昭人・主任研究員と東京医科歯科大大学医院の下門顕太郎教授らの研究グループがマウスの実験で明らかにした。人の老化のメカニズムの解明につながることが期待できるという。米科学アカデミー紀要(電子版)で発表した。

    マウスなどは人と違い、体内でビタミンCを合成できる。グループは、ビタミンCを合成できないマウスを遺伝子操作でつくり、ビタミンCが少ない餌で飼育した。死亡で半数になる速さを比べたところ、通常のマウスは24ヵ月かかったが、操作したマウスは6ヵ月で半数となった。死因は老衰で、4倍の速さで老化が進行したことになる。

    さらに、ビタミンCを全く含まない餌でこのマウスを飼育すると、人がビタミンCの欠乏症でかかる壊血病の症状が現れて、約半年後にはすべてが死んだ。

    日本ビタミン学会ビタミンC研究委員会委員長の村田晃・佐賀大名誉教授は「ビタミンCの老化防止作用について、動物実験で科学的な根拠が出たのは初めてではないか。ビタミンCが不足すると老化が進むと言われてきたが、それを裏付けるデータ」と話している。
    (朝日新聞2006年4月4日号より転載)

    私たちはビタミンCに限らず、日頃からどの栄養素についても常に目配りしていたいものです。生活者に役立つ研究とその成果がますます還元されることを期待しています。

  • 賢い眠り方って?

    賢い眠り方って?

    私たちにとって非常に重要な営みの1つである「睡眠」。けれども、寝つきが悪かったり、朝なかなか布団から出られなかったり、昼間に眠気が襲ってきたり、といった悩みを抱えている人は意外に多いものです。その原因の1つに生体リズムのズレが挙げられます。最も強い修正効果を持つのが光といわれ、しかも午前中に浴びておくことが大切なのだそうです。

    太陽光を浴びることにより、リズムのズレがリセットされるだけでなく、憂鬱な気分を解消することへのプラス効果も期待できます。朝早く起きたい場合に、前日は早めに布団へ入る方は多いと思いますが「早めに布団に入る」よりも「前日に早起き」した方が、体内時計もリセットされるためより効果的なのだそうです。現代人はリズムが狂いがちな生活を余儀なくされます。質の良い眠りを得るとともに生体リズムを整えるような1日を過ごしていきましょう。

  • 生活習慣病「胎児期に起因」

    生活習慣病「胎児期に起因」

    栄養摂らない妊婦にリスク!?(H18.3.8 日本経済新聞より一部抜粋)

    糖尿病や高血圧など、生活習慣病にかかるリスクの高さは母親のお腹の中できまっている、という説がある。「成人病胎児期発症説」だ。東大大学院の福岡秀興教授は「日本では『小さく産んで大きく育てる』を良しとする考え方もありますが、母体内できちんと栄養を与えてあげないと子どもの体質に影響する」と話す。

    妊婦向けの雑誌やパンフレットでは、妊娠中の体重増加を最小限に抑えて「かっこよく産む」ためのノウハウが紹介されていることがある。「赤ちゃんと2人分の栄養を、は昔の話」などと妊娠中の体型維持がテーマとされ、カロリー制限をすることで「何キロ増に抑えたか」が妊婦の自慢話にもなるようだ。

    どの妊婦さんも体重の管理に気を遣われているでしょうが、栄養素の不足は妊娠後のお母さんにも影響が出てきます。適切に栄養素が摂取できるよう心がけてください。

  • 同じ砂糖だけれども・・・?

    同じ砂糖だけれども・・・?

    シロップや梅酒をつくるときに欠かせない“砂糖”ですが、なぜ上白糖ではなく氷砂糖をつかうのでしょうか?そこで今回は梅と砂糖の関係を科学的視点で考えてみることにしましょう。

    梅の皮や果肉を構成する細胞の膜には小さな分子やイオンをとおす穴が開いており、水分子はこの穴を行き来しやすい性質をもっています。この膜を隔てて砂糖の濃度が異なると、濃い方をうすめようと水の分子が移動していきます。つまり砂糖分子が梅から水分を引き寄せているともいえます。この引き寄せる力を“浸透圧”といい、水を引き寄せる力の大きさは物質濃度に依存しています。上白糖を使うと出来上がりの時間は短縮できますが、梅に含まれる水分が早く抜けてしまうため、せっかくの風味成分をじっくり引き出すことができず、その上、底にたまった砂糖は氷砂糖に比べ溶けきらず残りがちに。これらの難点をクリアすることに適しているのが氷砂糖なのです。

    このように同じ砂糖でも、それぞれの性質を生かして使い分けられていることや科学という学問が日常生活に密着したものであることがおわかりいただけたでしょうか。

  • 朝ご飯給食 食べずに登校、学校が現実策

    朝ご飯給食

    食べずに登校、学校が現実策(H18.6.13 朝日新聞より一部抜粋)

    『朝ご飯を食べない子どもが増える中で、学校で「朝食」を出す動きが出始めている。「そこまで学校がするのか」という意見があるものの、「家庭に任せていても解決は難しい」と、現場では目の前のお腹をすかせた子どもへの対応に追われている。

    1時間目が終わるチャイムが鳴った。岡山県美咲町の旭小学校では、10分休みの間、給食ルームに児童たちが集まってきた。入り口に並ぶヨーグルトやチーズ、牛乳など10種類の中から、自分が食べたいものを選んで席に着く。「朝ご飯、食べてこなかった」「食べたけど、またお腹すいちゃった」。約8割の児童がおいしそうにヨーグルトなどを食べて教室に戻った。』

    ~(中略)~

    『女子栄養大の足立己幸名誉教授は「朝食を学校で補完するより、家庭の努力を促してもらいたい」と話す一方で、「でも、作らない親に言ってもなかなか変わらないのが現実。だったら、子ども自身で朝食を作る力を育てるよう、発想の転換も必要な時代ではないか。小学校低学年でもご飯の準備はできる。親が変わるのを待つより、子どもを変える方が早いかもしれない」と話している。

    お腹を空かせたまま登校せざるをえない子供が多い現実。幼い時期に身につけた習慣は成人してからも無理なく継続できるはずです。やはり早めの取り組みが肝心なのでしょう。

    年代を問わず、何かと余裕がない朝の時間帯ですが、まずはお出かけ前にコップ1杯のヒトフードドリンク(メグビープロ+ミックス(ドリンク))からはじめてみませんか。1日の活動を充実するための土台となる栄養素が、1分もあれば摂ることができます。

  • 食べても太りにくい油って・・・?

    食べても太りにくい油って・・・?

    年齢も50歳を過ぎると、日常の会話の中でも自分の健康に関する話題が増えてくるといわれます。中性脂肪値、コレステロール値などがちょうど気になりはじめる年代だからでしょうか。

    ところで、こうした方たちをターゲットに「身体に脂肪がつきにくい」、「中性脂肪値が上昇しにくい」などの特徴をもった機能性植物油というものが市販されています。

    CMのイメージが強いせいもあり、特定保健用食品の性質を誤解している方は意外に多いようですが、どの製品にも利用上の注意事項には「多量に摂取することにより、疾病が治癒したり、より健康が増進したりするものではありません。」と書かれています。つまり、厚生労働省が認める保健効果は、食用として常識の範囲内で使用する分においてある程度の効果が期待できるのであり、摂取量の増加に比例して効果が高まってゆくのではありません。

    こうした油が脂質代謝の改善に有効というデータがある一方で、肥満抑制効果がないことや揚げ物に利用すると劣化しやすいことを示す報告もありますから、安易に飛びつかずに今後の研究を見守ってゆく必要があると思います。

    そもそも肥満の抑制や血中脂質値が改善のためには、油を変えるだけで良いという単純なものではなく、他にもいろいろな要素を考えなければなりません。油に限らず、ヨーグルト、甘味料、お茶など特定の保健機能を強調した食品・飲料水は、私たちの食生活にどんどん浸透しており、私たちを取り巻く食環境は充実してきたようにみえますが、機能性を集めた食品を食べれば、健康的な身体が手に入れられると安易に考える風潮があるのでしょう。正しい理解を妨げることになりはしないかと少し心配です。

  • 健康によい豚肉

    健康によい豚肉

    日経サイエンス2006年9月号より

    『「豚が空を飛ぶ」といえば実現不可能なことのたとえだが、そのうちブタは魚と一緒に泳ぐようになるかもしれない。最近、ちょっと“魚らしく”なったブタができた。

    ω3脂肪酸は心臓発作のリスクを減らす効果がある。魚油に多く含まれるが、シーフードは一方で水銀汚染の心配もある。そこで“魚のような”ブタを育てようと、ある遺伝子がブタの胎児の細胞(結合組織のもとになる細胞)に導入された。これらの細胞は増殖して、ω3脂肪酸濃度が通常の3倍の子ブタが生まれた。ただし、成体になった後も高濃度を保つかどうかは今後の確認が必要。

    ω3脂肪酸の多いブタができれば、健康によいベーコンの実現につながるほか、ブタ自身も心臓病にならずに長生きするかもしれず、養豚農家にはプラスだろう。』

    霜降り肉をつくるために、ビタミンAを減らした特殊飼料で育てられるという話もあるようです。ビタミンAを摂り控えている方にはちょっと気なる話かもしれませんね。

  • 酸素入りの水が人気、でも「飲む」とどうなるの?

    酸素入りの水が人気、でも「飲む」とどうなるの?

    朝日新聞2006年8月2日号より

    『通常の数倍~数十倍の濃度という酸素ガスをミネラルウオーターなどに溶かした「酸素入りの水」が最近、コンビニエンスストアなどで人気だ。今年の市場規模は昨年の3倍以上との推定もある。だが「飲む酸素」の「効き目」は、科学的にはよくわかっていない。

    酸素は通常、呼吸によって肺から吸収されるが、酸素入りミネラルウオーターなどを販売する会社の広報担当者によれば、欧州の医学専門誌に01年、ウサギの実験で酸素が腸管から吸収されたという論文が掲載された。酸素入りの水で、筋肉疲労の目安となる乳酸値が下がったという論文もあるという。(中略) 酸素入り水を手がける大手メーカーは「当社は、宣伝で具体的な効果・効能はうたっていない。リフレッシュ気分を味わってほしい」と話している。』

    三石先生は生前、活性酸素が生体へ与える傷害性、さまざまな病態との関わりから、抗酸化物質を積極的に摂取することの必要性についても説かれ、気分のリフレッシュを目的に酸素を吸入することに反対だったことは、著書を読まれたみなさまにはご存知でしょう。

    大気中の酸素も傷害性は弱いながら、相手を酸化する性質をもっており、鉄などのミネラルとの反応により活性酸素の発生が増加してしまうのです。

    ジュースなど清涼飲料水の多くには、酸素による品質低下を防止するために、わざわざ窒素ガスが充填されている事実からも、酸素の扱いには苦労していることが伺えます。 濃度を高めた酸素自体のもつ性質と、酸素水に含まれる微量のミネラルと濃度を高めて溶かし込んだ酸素との相互作用それぞれが、マイナスに作用する可能性がゼロとはいえません。 よって酸素水の飲用により得られるものはリフレッシュ気分ではないといえるでしょう。

    酸素が足りないと感じられる方は、まず深呼吸してみましょう。水をあてにするよりも肺から酸素を取り込む方が効率も良いのですから。

  • 食品添加物

    食品添加物

    私たちの食を取り巻く環境もめまぐるしく変化を続けながら、調理済み食品の普及を始め、内容や形態も年々多様化しています。何かと忙しさに追われることの多い現代人の利便性向上と少しでも安く購入をと願う消費者のニーズに応えるために急速に普及してきたのが食品添加物です。

    日常生活において毎日知らず知らずのうちにさまざまな食品添加物を摂取しているわけですが、安全性や使用基準などに不安がないわけではありません。しかし、現代においては添加物を避けて食生活を送ることは不可能なのです。ただ不安を募らせる前に、まず実態を把握し、必要性や果たしている役割などを理解しながら上手に付き合っていきたいものですね。 食品添加物のウラ・オモテについていろいろな視点から考えてみましょう。

    私たちをとりまく添加物 その1

    あるサラリーマンの食事より
    ●朝食:パン、冷凍オムレツ、果物(オレンジ)、牛乳

    パン:
    イースト菌の栄養源となるイーストフードや品質改良に使われ、パン生地をきめ細かくソフトにしたり、風味を豊かにしたりするためにビタミンCが使われているのです。

    バター:
    酸化を抑えるための防止剤が使われるものが中にはあるようです。

    卵製品:
    栄養強化や着色目的でカロチノイドなどが配合されたりしています。

    オレンジ:
    柑橘類は遠くの地より消費者の元に届くまでの間、品質を保つために防腐剤や防カビ剤が散布されます。せめて食べる前にはしっかり洗いましょう。

    牛乳:
    低脂肪乳の場合、栄養強化の目的でカルシウムなどが添加される場合が多いです。

    ●昼食:コンビニで買ったインスタントラーメン、おにぎり、お茶

    ラーメン:
    麺のコシをだすためにかん水以外にでんぷんなどもが使われています。他に酸化防止剤にビタミンEが、着色料にカロチノイドやクチナシ色素などが使われます。スープの調味料もすべて添加物です。(アミノ酸は調味料としても活躍しています。)

    おにぎり:
    こちらも調味料としてアミノ酸が使われています。トレハロースという名の天然糖はデンプンの老化抑制、保湿効果をあわせ持ち、お米の品質維持に使用されます。

    お茶:
    酸化防止の目的でビタミンCが使用されており、使用しないと店頭に並ぶ頃には色が抜けてしまうとのことです。
    大まかにご紹介しただけでもこれだけ多くの添加物が使われているのです。 また着色料や保存料だけが添加物ではないこともおわかりいただけたのではと思います。

    私たちをとりまく添加物その2

    あるサラリーマンの夕食より
    ●夕食:ステーキ、コンソメスープ、サラダ、ワイン

    ステーキ:
    生鮮食品への添加物使用は原則禁止されていますが、肉の変色を抑え、見た目良く見せるためにニコチン酸やビタミンC(アスコルビン酸)などが使われていることもあるようです。

    コンソメスープ:
    インスタントラーメンのスープと同様に、調味料、香料など多くの添加物が使用されます。

    サラダ:
    彩りとしても利用されることの多いカニ風味かまぼこなどは、カニを模してつくられたコピー食品です。他にもイクラ、ホタテなどいろいろなコピー食品がありますが、知らずに食べている方がいらっしゃるかもしれません。添加物の使用拡大によって発展してきた分野の食品です。

    ワイン:
    酸化防止のために亜硫酸塩、ビタミンCなどが配合されています。

    添加物として広範に使用されているビタミンC(アスコルビン酸)の仲間にエリソルビン酸という物質があります。ビタミンとして生体調節などへのはたらきはあまり期待できませんが、抗酸化力はアスコルビン酸と同等であり、栄養強化以外の酸化防止やpH調整などの目的において広く使用されています。保存料のソルビン酸と名前が似ていますが、全く関係ありません。

    ちょっと気になる食品添加物のいろいろ

    ●合成の添加物は身体への影響が心配なのですが・・・
    正式名は、既存添加物(天然)、指定添加物(合成)と呼ばれ、その違いは、製造過程中に化学反応があるかどうかの違いにより分類されますが、自然には毒性をもつ物質は多く存在します。安全といわれる物質も使い方によっては身体に悪影響を及ぼす場合がないとは言いきれないというのが実情です。指定添加物を既存添加物に置き換えればすむといえるものではなく、どちらが良いと結論づけることのできる単純な問題ではないといえるでしょう。

    ●表示のルールはどのようになっているの?
    原則として使用している添加物は、全て物質名(用途名)で表示することが基本となっておりますが、香料や調味料、乳化剤、pH調整剤などは、使用用途だけ表示しても良いことになっており、表示スペースのない小包装商品やバラ売り商品には基本的に表示義務はありません。また、消費者心理に乗じて、無添加をうたった商品でも、よく見てみると無添加なのは着色料だけ。といった例もみられます。表示は製品の内容を消費者がきちんと判断して購入するための大切な情報源です。時々はきちんとチェックしてみましょう。

    添加物についての問題にもいろいろありますが、例えば酸化防止剤と着色料を同列に扱って良いのか、利便性と安全性のバランスをどのようにとるべきなのか?など、企業だけでなく、私たちの消費のあり方までも含めて、それぞれ考えなければいけないように思います。

    余計な心配をすることなく、日常生活をおくるために必要な考え方とその実践とは?

    ● 食品添加物の安全性評価と食品業界の現状について
    安全性を調べるためには、ラットやマウスなどの実験動物を用いて、一度に多量の添加物を与えたり、長期に渡って与えたりした場合の発ガン性の有無、アレルギーの有無などが細かくチェックされています。しかし、次にご紹介する安全性を高くみせる食品業界のテクニックを知ると、法律による規制にも限界があることを思わざるをえません。

    「大(代)活躍するpH調整剤」
    コンビニやスーパーで売られる加工食品に、評判の悪い保存料の使用を縮小する動きが広まっています。しかし、その影では細菌の増殖を抑え、製品の状態保持に利用されるpH調整剤(酸味料)が代役として幅をきかせていたのでした。

    この場合、保存料に近い効果を得るためには、保存料を使用した場合に比べ、約数十倍の添加物が使用される計算になりますので、保存料の使用をゼロに抑えてみても、添加物全体の使用量はむしろ増えてしまう新手のごまかしトリックなのです。 「○○無添加!安心!」という言葉には必ず裏があると思って間違いなさそうです。

    ● 三石巌の考え方
    『よく喫茶店やレストランで、毒々しい色をした飲み物やデザートを注文して、同席した人たちを驚かせる・・・』など、食品添加物に限らず、先生らしさの垣間見えるエピソードは数多くあります。食品添加物については、然るべき備えをしていれば、小さなことは気にする必要はないと、ハッキリした考え方をお持ちだったようです。 三石巌が考えた学習することの意味や学習の成果をどのように生かせば良いのかということを、ぜひ多くの著書の中から感じ取っていただければと思います。

    ● おわりに
    今回、食品添加物をテーマに、加工食品を取り巻く状況や消費者の認識に関する問題など、さまざまな視点から考えて参りました。結論として、食品添加物に関わる問題はいろいろあるのは事実ですが、「食品添加物=危険」という狭い認識では、これからも増え続けるトリックに振り回されてしまうだけです。かかわりを避けることが困難であれば、避けることだけ考えずに、上手に付き合っていく方法を求めるのが賢い消費者の姿だと思います。

    食品添加物のような異物は、薬物代謝というしくみによって処理・排出されます。こうした場合にも、ヒトフード、ビタミンA、ビタミンEなどの栄養素が心強い支えとなるのですから、日頃からきちんと摂取して余計な心配事を減らすことにお役立ていただけると幸いです。

  • 現代人は眠れない

    現代人は眠れない

    2007年にフランス政府は、職場での昼寝の奨励や睡眠に関する研究を盛り込んだ「安眠アクションプラン」“国民よ、もっと眠れ”を発表しました。国民の3分の1が寝不足で、睡眠不足による関連疾患や交通事故の危険性があると警告されたからなのです。日本でも同じような問題を抱えているといえるでしょう。

    睡眠不足には自分の意思で眠らない場合や眠りたい意思はあるが眠れない場合など、いろいろありますが、理由はどうあれ、睡眠時間を削る生活習慣は健康管理上大きなマイナス因子であることに間違いありません。睡眠中、身体の中では組織の修復をしたり、記憶の整理をしたり、健やかな日常生活をおくるために大切な仕事が休みなく進行しています。

    睡眠時間と寿命の関係を調べたある統計では、長寿者は毎日6~7時間の睡眠時間を確保している場合が最も多かったことが知られています。それから、睡眠について考えるときに概日リズムも大切な要素です。概日リズムとは、ヒトが朝起きて夜眠るまでの1日を周期的に繰り返すリズムをいいます。時計遺伝子がそれをコントロールし、制御される遺伝子数は数百種にのぼるといわれます。

    睡眠不足や昼夜逆転した生活習慣は、これら遺伝子の発現に影響を与えて概日リズムを乱す他、肥満や高脂血症など、メタボリックシンドロームにつながることもわかってきました。こうした情報は時間生物学の成果によるものです。現在「睡眠」は健康管理上大きなテーマになっており、睡眠と身体の状態の関係について、今後も明らかになってゆくでしょう。「賢く眠れる現代人」をめざし、健やかな毎日を過ごせるように努めたいものです。

    ● 概日リズムを整えるためのワンポイント
    起床時間はいつも一定を心がけ、起きたら窓を開けて朝日を浴び、朝食もきちんと食べましょう。

    ● 食事面のワンポイント
    忙しい時も脳へのエネルギー補給のために、バナナ・和菓子などの糖質+ヒトフードドリンクだけでも摂ることを心がけましょう。最低限必要な栄養素はしっかり確保できます。

  • 薬の効き目にも個体差があるからご用心!?

    薬の効き目にも個体差があるからご用心!?

    朝日新聞2008年1月14日に「高速バス運転手失神 乗客が縁石にぶつけ停車」という見出しの記事がありました。ご存知の方も多いと思いますので、記事内容の詳細は省略しますが、運転手の異常にいち早く気がついた乗客のおかげで大惨事には至らなかったことは幸いでした。一見すれば健康管理と無縁に思えるこの記事ですが、改めてよく読んでみると私たちが薬の使用を考える際に参考となる内容が多く含まれていることに気が付きました。

    話のポイント
    ○運転手は前夜から体調が悪かったため、市販のかぜ薬を服用してから早めに就寝した。(事故後の調べでインフルエンザに感染していたことが明らかに)
    ○当日起床後にも、念のためにまた薬を服用してから仕事へ向かった。
    ○運行前のチェックでは、アルコールと体調には異常のないことが確認されていた。

    事の発端は運転手が症状を自己判断して薬を服用したことにありますが、風邪やインフルエンザの原因はともにウイルスであっても、症状や対応する薬の種類はそれぞれ異なるのです。 また薬を予防的に服用したことにも問題があります。事件の発生に至るまでには、このように薬の性質を無視した対処のしかたが重なり合っていることがおわかりいただけるでしょう。

    身体にとって異物である薬は、肝臓で解毒される仕組みを持っていますが、日本人の場合、解毒酵素の働き方には、一人一人に違いがあることがわかっています。またタミフルの例からも、脳や神経系に作用する薬は、ときに重大な結果を引き起こす可能性があるのです。

    推察ですが、運転手が服用した薬には眠りを誘う成分(抗ヒスタミン剤など)が含まれており、気を失ってしまったのは、副作用がより強くあらわれてしまったためと考えられます。

    これからは栄養素と同様に薬との関わりを考えるときにも、個体差を問題にしなければなりません。服用するにあたっては、種類を問わず、用心の上に更に用心を重ねる慎重さが大切だといえるでしょう。

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